俳優の紹介
門平 善照(かどひら よしてる)。映画で男側の主要人物。20歳の大学生。日本人。細身。
美雪 雪音(みゆき ゆきね)。映画で女側の主要人物。20歳の大学生。日本人でロングヘア。きゃしゃで胸はCカップ。
宮本 言左衛門(みやもと ごんざえもん)。映画で門平の親友。20歳の侍。日本人。刀を所持。ボサ髪のチョビヒゲ。
リアナ 恵子(りあな けいこ)。映画で美雪の親友。20歳のお嬢様。外国人と日本人のハーフで、巨乳。体型はスマート。
萌美(もえみ)。映画で殺人鬼(悪役)の立場を取る主要人物。6歳の妖精さん。幼女。小柄で、金髪碧眼。ロングヘア。普段着は白いワンピース。
因幡 雄介(いなば ゆうすけ)。ノベライズの最後に解説を加えるライター。俳優として登場することはない。(と思う)
今回の作品紹介
映画『オープン・ウォーター』を紹介
あらすじ
数年前に実際に起こった出来事に基づき、特殊効果やCGは一切使用せず俳優たちが本物の鮫のうごめく海の中で芝居をした異色サスペンス。オープン・ウォーター(開放水域)に取り残されたダイバー夫婦が、肉体的、精神的に極限状況で体験する恐怖をリアルに描く。2004年のサンダンス映画祭で大注目を浴び、低予算映画としては異例の全米スマッシュヒットを記録した。
ワーカホリックの夫婦、スーザン(ブランチャード・ライアン)とダニエル(ダニエル・トラヴィス)は、7ヶ月も予定を延期してようやく取れたバカンで、カリブ海に向かう。
ふたりはダイビングのツアーボート”リーフ・エクスプローラー号”に乗り込む。「目的地は、マジックキングダム。そこで、みなさんを待っているのは―」ボートは他のツアー客で満員。グループの輪に入らず「勝手にやろう」とダニエルは言う。ダイビングを楽しむスーザンとダニエル。精神的に開放されたふたりは、この貴重なひとときを満喫する。しかし、ダニエルがウツボに見入っている間、海上のボートでは、今、まさに彼らが体験する最も怖い悲劇の序章が始まっていた。ふたりが満足して海面にあがってきた時、すでにスタッフの単純なミスで全員が乗ったと思い込み、ボートは彼らを残して岸に向かって去っていた。
海は数多の怪物を孕んでいた【チャットノベル】
あれから何時間泳いだ。
体力が消耗しすぎて、時間の感覚がわからない。
それでも泳ぎ続けた。
顔を上げたとき、ヨットがいなくなっていたときの絶望を感じたくなかったから。
海水が口に入り、おもわずせきこんだ。
ヨットはいなくなっている。
全身に寒気が走った。
――……言左衛門!
やつは今半魚人化している。
瀬戸内海のタイを捕まえたんだ。
俺を運んで陸まで行けるはず!
言左衛門! 言左衛門!
叫ぶが、誰も答えてくれない。
動揺して、水中遊泳を許してしまったことを後悔した。
名前を呼び続けるけど、青い波がすべてを飲み込んでしまう。
鳥が海面まで魚を捕りに来た。
鳴き声を上げて、水中に沈む。
灰色の背びれが水中から突き出される。
言左衛門?
違う。
本物のサメだ。
モヒカンじゃない。
くっ!
海水を吐き出してサメから離れようとする。
サメはぽちゃんと海に沈んだ。
逃げたのかと安心しかけたとき、足を何者かにかみつかれた。
ぐわあっ!?
あせって、パニックを起こしていると、サメがまた背びれを出した。
俺の周りを回っている。
素早い。
狙いをさだめられた。
死の恐怖に、涙が両目に浮かんだ。
ちゃあっ!
サメが水面を飛び出して跳ねた。
ビクッと、のけぞる。
それはサメの背びれを頭につけた、金髪の幼女だった。
幼女はスイーと俺に近づき、
お兄ちゃん! 海のテーマパークで遊ぼうよ!
幼女は、ポカンとする俺に向かって、両手を広げた。
生臭い。
頭につけているのは、本物のサメの背びれだ。
それを幼稚園生がかぶる、ヒモ付き帽子みたいにしている。
口元が引いた。
門平! カモンヌ!
半魚人の言左衛門が俺を誘う。
俺は半笑いのまま、幼女と言左衛門に向かって泳ぎだした。
水面が光で、お星さまのようにきらめいている。
なんだか楽しくなってきて、大笑いしながら、俺は彼らと一緒に海の向こう側へ……。
うりゃあああああああああああっ!!
よく響く美雪の声がしたと思ったら、網を頭から投げつけられた。
網に引っかかり、すごい力で持ち上げられる。
言左衛門と幼女も捕まった。
船に乗せられ、網を強引に外された。
デッキに転がる。
リアナが幼女を両手で持ち上げ、
こらっ! お姉ちゃんから離れないでって言ったでしょ! 半年も探したんだから!
プー! だって楽しかったんだもん!
人魚化した幼女が口をとがらせる。
両足はなくなっていて、魚の尾になっていた。
着ている白いワンピースから水がしたたり落ちる。
あの子は?
リアナの親戚の子で、萌美って名前よ。半年間、サメとか食って生きてたんでしょうね
そっか
美雪の愚痴が聞こえなくなった。
西に沈みつつある太陽が暑い。
狂ってしまいそうだ。
いや、むしろ、狂ったほうが楽だったか。
美雪がビチビチ跳ねている言左衛門を見下ろし、
あら? 宮本君? 何、そのテカったうろこ。渋谷系?
いや、どちらかというと、下北系でござるな
うーん。全身脱毛するか。
瀬戸内海の荒波がサメに匹敵する怪物を生んでいた。
オープン・ウォーター【了】
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【ライターのコメント】
オープン・ウォーターは話の流れのとおり、サメと海しか出てこないので、低予算で作られています。これがヒットしたおかげで、続編が作られています。オープン・ウォ―ターで画像検索してみると、楽しそうにしている画像と、恐怖画像が混じっているので、なかなかシュールなことになっております。